海の鼓動を肌で感じたい——。誰もが一度はそんな衝動に駆られるのではないでしょうか。
アクアワールド茨城県大洗水族館は、そんな願いを遥かに超えて海の世界へと連れていってくれる不思議な場所です。

ただ“魚を眺める”という体験に留まらず、「なぜこんなに奥深いんだ?」と胸が高鳴るほどのサメ王国、だらけきったカピバラのゆるさ、子どもも大人も目を丸くするイルカ・アシカショー、厳かなクラゲの揺らめき……。
新たな生態系の発見、かつてない癒し体験、そんな“もっと知りたい!”がどんどん生まれる――。
本記事では、アクアワールド茨城県大洗水族館で出会える未知なる感動の数々を、現地を再三訪れて独自にまとめ直した新しい切り口で徹底解剖していきます。

「水族館なんて、どこもいっしょでしょ?」
そんな常識を覆す体験が、ここには確かにあった!
それでは海への扉を開いて、新たな世界へ、一緒にDiveしましょう。
サメ王国を体感せよ:圧倒的ラインナップと生態美

最初に驚かされるのが、「日本一のサメ王国」としてのスケールと深さ。
正直、最初は“サメってそんなに種類いたっけ?”と半信半疑で足を踏み入れた私ですが……。
アクアワールド茨城県大洗水族館のサメ展示を目の当たりにした瞬間、その疑いは粉々に打ち砕かれました。
ここには世界中から集められた60種以上ものサメたちが、がっつり育てられています。
この規模を“多い”と単純に捉えてはいけません。本当に異常なんです。比較対象が思い浮かばないほど。
しかも、その「珍しさ」のレベルが桁違い。たとえば悠然と泳ぐ巨大なシロワニ。思わず「おお!」と呻るアウトライン、鋭い歯、逞しい姿に圧巻されますが、実はすごく温厚で、優しささえ感じる。
2023年12月のオオテンジクザメの展示開始時は現場も来場者もえらい熱気で、“サメ目当てで旅行した自分”は孤独じゃなかったと妙に安心できました。
展示で終わらないのがまたポイント。
アクアワールド茨城県大洗水族館のサメ愛は、繁殖実績にも如実に表れています。3年連続で新種の赤ちゃん誕生ニュースが続き、16種は日本初繁殖!!
自分が2019年訪問した際に見たオーストラリアンマーブルシャークの仔、今ではすっかり立派な若サメ。
それぞれに名前があったりして、スタッフの“贔屓”精神が伝わってきます。
展示水槽のバリエーションにも感動します。悠久の海ゾーンの巨大水槽では、巨大サメ・小型サメ・サバイバルで生きる魚たちが混泳するダイナミックさ。
別のミュージアムエリア「シャークダディズルーム」では、顎や卵殻の標本、サメ肌の断面までじっくり見学可能。
この空間、まるでサメ博士の書斎。資料写真だけでなく、実際に手で触れたり、じっと見つめたり——。
「サメの卵殻はどうしてこんなに複雑なんだ?」や「小さな歯が何百本も生えてる!」といった気づきが、まるで科学探偵になった気分にさせてくれます。
たまに子どもより熱心に観察している大人もいますが(筆者です)、実物を前にすると“怖いサメ”のイメージも揺らぎます。
サメ好きはもちろん、海洋生物の生態に興味がある人なら、2時間いても飽きることはありません。
なぜなら、「本当のサメは怖いだけじゃない」ーーそれを体感できる場所だからです。
マンボウ専用水槽、日本一の規模が叶える癒し空間

次に語らずにはいられない、“癒し系超巨星”ことマンボウの話。
海の生きもの好き歴20年ですが、アクアワールド茨城県大洗水族館のマンボウ水槽を初めて目にした瞬間、しばし立ちすくんでしまいました。
まず、水槽の大きさに唖然。水量270トン、これだけでも普通の水族館なら主役級の大水槽ですが、丸ごと“マンボウ専用”。
現在(2024年春)、6匹のふくよかなマンボウたちが、思い思いに漂っています。大洗の海を模した「世界の海ゾーン」中央に据えられていて、色々な角度から好き放題に観察できるのが嬉しい。
常連さんによると、朝と昼と夕方ではマンボウの動きが全然違うんだとか。私も早朝、昼過ぎ、夕方に3回観察してみたんですが、確かに朝はみんなおっとり、お昼は活発、夕方になると水槽隅でまどろむ姿が印象的でした。
自分が印象的だったのは、その“浮遊感”。上下にも左右にもふわりふわりと泳ぎ、まるで時空を漂う宇宙船。
なぜか見ていると心がざわつかず、しばしばベンチに座って小一時間はボーッとしてしまいます。
しかも水槽には、サメやチンアナゴといった人気どころも並ぶ贅沢仕様。マンボウのユルさと他の生きものの“働き者ぶり”のギャップが妙に癒されるんですよ。
熱帯域・寒帯域・温帯域——世界三大環境の各エリアで生きる生きものの共演。まさに小さな海の宇宙旅行といえる体験です。
意外と知られていませんが、ここまで数多くのマンボウがゆっくり泳ぐ姿は、日本全国どの水族館も真似できません。
「世界の海ゾーン」、要注目です。
イルカ・アシカオーシャンライブ:感情を揺さぶるライブ体験

どこの水族館もショーイベントは人気ですが、アクアワールド茨城県大洗水族館のイルカ・アシカオーシャンライブには独特の“熱”がある。
まず、シアターのロケーションが素晴らしい!ガラス越しに大洗の水平線が見えて、屋内ショーというより「海そのものに包まれている」ような没入感があります。
個人的に印象深かったのが、カリフォルニアアシカの観客を巻き込むパフォーマンス。
アシカのジャンプ力のすごさはもちろん、時にはおどけた仕草で子どもたちを笑わせてくれたり、わざと音を外してみたりと、“生きてる”という実感がビシビシ伝わるのがこのライブの持ち味。
間近で見るイルカのジャンプは、映像や雑誌のそれとは全然迫力が違います。
夏のある日、座席最前列で観たときには水しぶきを浴びて大爆笑してしまいました(タオル推奨)。
座席は自由席(先着順)ですが、週末や連休は開演30分前でも席が埋まるので、時間配分はご注意を。
ショーだけでなく、その合間に交わされる飼育員さんと動物たちの“信頼関係”が垣間見える場面には毎回ホロリとさせられます。大人だけで行っても十分に満足できますよ。
北の海の愛すべき住人たち:エトピリカ・ゴマフアザラシ・フンボルトペンギン

続いて、「こんな生きものもいるんだ!?」と驚かされるのが、北の海ゾーンの生きものたち。
まずは、エトピリカ。コロンとした身体に真ん丸い目、橙色の嘴が特徴の珍鳥です。2022年春に子どもの誕生を見学したのですが、小さな雛がふわふわと揺れる様子は、まさに“うごく癒し”そのもの。
生態解説も飼育員さん手作りの資料で見やすく、思わず気が付けばメモをとっていました。
また、ゴマフアザラシの豪快な食事タイムもおすすめ。
水面でくるくる泳いでみせたり、時には生魚をもらってご満悦な表情……。
2023年の春に見た“もぐもぐタイム”では、観覧者全員が思わずにやけ顔。
ペンギンといえば南極のイメージが強いけれど、ここではフンボルトペンギンが元気に活動中。南米原産で、暑さにも結構強い種類。
ペンギンたちがひしめきあいながら餌を食べ、時には水中に飛び込むシーンは、つい動画を撮りたくなる光景です。
“ペンギンのお食事タイム”もしっかり推奨。意外と鳴き声がハスキーで味わい深い。
こういう発見の積み重ねが、訪れるたびに水族館の見方を変えてくれるのです。
一見地味だけれど、じっくり観察すると奥深い北の海の愛すべき住人たち。
カピバラのいる水族館?日常からの“脱力”体験

「え、水族館でカピバラ? 動物園じゃないの?」
そう思った人こそ、一度は見てほしい。
アクアワールド茨城県大洗水族館が誇る意外枠、それがカピバラ。
南米産の巨大げっ歯類だけど、水辺を愛する習性ゆえに水族館での飼育もぴったりなんですよ。
実際、2022年秋に初めてこの水族館のカピバラエリアを訪れた時……。
仲間同士で仲良く毛づくろいしたり、水辺で横たわったり、瞬間的に何もかも忘れる“だらけタイム”を満喫していました。
カピバラたちののんびりぶりは、見ているだけでこちらの緊張まで解けてしまうほど。
時には水遊び、時には日光浴。その自由気ままなスタイルがとにかく和みます。
子どもたちも「あっ!大きいモルモット!」と目を輝かせるほど。
水族館=海の生きものというイメージが覆ります。訪れるたびに“水辺”というテーマの広がりを感じさせてくれる貴重な生きものです。
個人的にはカピバラの鼻先からしっぽまでじっくり見比べたり、彼ら同士の微妙な距離感や毛並みの違いを観察するのが密かな楽しみ。
新しい視点の“癒し”を探している人にこそ、イチオシしたいスポットです。
体感せよ、「8つのゾーン」が織り成す新しい世界の海

アクアワールド茨城県大洗水族館の最大の醍醐味は、そのゾーンごとの徹底したテーマ性。
全8ゾーンに区切られ、それぞれがまったく違う海の顔を見せてくれるので、ひとつの水族館で「世界中の海」を巡る気分が味わえます。
出会いの海ゾーン:25,000匹の生命の躍動

「出会いの海ゾーン」では、約80種、25,000匹が泳ぐ大水槽がそびえ立つ。
ここだけで、1時間はボーッと眺めていられるほどの密度。
ある時期にはイワシの大群が一糸乱れぬ集団行動を見せ、まるで万華鏡のよう。
時折混泳する大型魚と小魚の交錯に、自然のドラマを垣間見ることができます。
大水槽を正面から眺めるのも良いけれど、2階部分から見下ろして違う角度で観察すると、新しい発見もあり。
天候や照明の違いで水景が変化するので、訪れる度に印象が異なります。
神秘の海ゾーン:幻想的クラゲワールド

最近人気急上昇なのが、「神秘の海ゾーン」ーークラゲ類の揺らめきを集めた空間。
暗がりの中でガラス水槽が淡く輝き、無数のクラゲが漂う様は「ここが宇宙なのか」と錯覚する神秘さ。
オワンクラゲ、ミズクラゲ、サカサクラゲなど、普段はあまり意識しない生きものも、こうして見るとため息が出るほど美しい。
解説掲示も工夫されていて、“クラゲの一生”が子供にも大人にも分かりやすく描かれています。
「クラゲの傘はなぜこんなに柔らかいの?」と考えているうちに、だんだん時間を忘れてしまうエリアです。
世界の海ゾーン:海の多様性を一気見

「世界の海ゾーン」(3階)は、上記のマンボウ水槽も含め水族館の中枢ゾーン。
特に温帯~熱帯~寒帯のラインナップは、日本のどの水族館よりも層が厚い。
その中でも個人的に注目したのは、チンアナゴ。
砂底からぴょこぴょこと顔を出す姿、見れば見るほどその不思議な動きに引き込まれます。
熱帯魚のカラフルさや、稀少な種類の展示も豊富。じっくり見ているうちに“行ったことのない国の海”に旅している気分を味わえます。
悠久の海ゾーン:迫力の大型サメと海洋ロマン

大型サメの競演、その舞台が「悠久の海ゾーン」。
全長4m級のサメが悠然と泳ぐさまは、まるで太古の海へタイムスリップしたよう。
時には水槽ガラスにサメが顔近くまで寄ってきて、思わず一歩下がってしまうスリルも。
また、深海をテーマにした展示も含まれ、マニア心を大いにくすぐります。
沖縄の海水槽:極彩色の「サンゴ礁の楽園」

一瞬、「ここは南国の島!?」と思ってしまうのがこのエリア。
カラフルなサンゴと、まばゆい魚たち……。
ウラジオストクからパラオまで、本気で世界一周した気分になれる水族館です。
アクアワールド茨城県大洗水族館が与えてくれる「価値」

この場所が他と違うポイント、それは“体験の密度”。
約580種・68,000点の生きものが集まり、年間の来館者はついに100万人超(2023年度は1,134,313人!)ーー。
すごい数字の背景には、その場でしか感じられない“発見”があります。
サメ一筋で進化を続ける飼育方針。日本中から生きものファンが集う理由。
単なる見学施設を超えて、興味や知的好奇心にガツンと火を点けてくれるんです。
たとえば「水族館マニア」的視点では、繁殖の難しい生きものに意図的にチャレンジし続けている根気。
「ショー目当てで行く」ライト層も、そのパフォーマンスの高さと“生モノ感”にリピート必至。
更に、太平洋に面した絶好のロケーション。
水槽越しに眺める大洗の海、自分が今いる場所がそのまま“本物の大海”と繋がっている感覚に圧倒されます。
そのため、「ここが基準になってしまうと他の水族館が物足りなく感じる…」と語る常連も多いそうです。(私も、その一人です)
まとめ:アクアワールド茨城県大洗水族館は“進化する海”そのもの

いかがでしたか?
アクアワールド茨城県大洗水族館は、サメの種類数日本一という肩書にとどまらず、マンボウ、ペンギン、クラゲ、カピバラ、そして見ごたえある8つのゾーンで、訪れるたびに新しい世界へ導いてくれる“生きた海”です。
「ちょっと水族館でも行く?」と思ったきっかけの先に、想像を超える驚きと発見があなたを待っています。
水生生物に限らず、命の営み、自然のダイナミズム、そして“癒し”や“驚き”、あたたかな気づきが満載。
大切な人と一緒に、ひとり旅の刺激を求めて、学びの場として——。
どんな目的でも、「また行きたい」と心から思える場所になること、間違いありません。
アクアワールド茨城県大洗水族館、その魅力をぜひあなたの目で、体で、五感ぜんぶで味わってください。
そして、次の誰かに、「ここはただの水族館じゃないよ」と語りたくなる体験を。
海の豊かさと、命の神秘に、きっともっと夢中になれるでしょう。

