瀬戸内の水軍伝説がいま宿で蘇る——汐の丸で感じた“時空旅行”の衝撃
瀬戸内海の青と緑のコントラストは、旅人の心に語りかけます。
どこまでも穏やかに広がる水面、煌めく波。
そこに何百年も前の“物語”が潜んでいると知ったら、きっとあなたもじっとしていられなくなるはず。
そんな歴史ロマンに、現代の快適さをプラスし、時間ごとまるごと贅沢に体験できる宿——「汐の丸」。
ここは観光ホテルでも単なる温泉宿でもありません。
むしろ、歴史と浪漫と癒やしが渾然一体となった“瀬戸内の歴史体感ミュージアム”のような場所。
四国・愛媛県の東端、今治市湯ノ浦。
この地で、私は一泊二日、忘れがたい水軍ロマンの旅をしたのです。
決して歴史マニアだけのための宿ではありません。
美しい海景、人にやさしい温泉、獲れたての海鮮、美食のおもてなし、予想を超えたエンターテインメント……。
「汐の丸」には、現地で息づく“瀬戸内海文化”と“村上水軍伝説”のすべてがあります。
実際に体感し、圧倒された魅力を、私の個人的経験とユニークな切り口で余すことなくレポートします。
瀬戸内史や日本の水軍、さらには温泉や食、土地の人々の息遣いまで。
歴史×食×湯×景色×現代性という五つの軸で、思いきり深掘ってみましょう！
汐の丸で出迎えてくれるのは「水軍の息吹」そのもの
初めて「汐の丸」を訪れたのは、2022年の初夏。
朝イチで今治駅からレンタカーを借り、しばらく車窓の移ろいゆく海と森を眺めていると、湯ノ浦温泉のたいへん風情あるエリアが現れます。
今治湯ノ浦ICからはたった3分。
信号も少なく、あっという間にホテルのエントランスへ。
建物は、遠目からも存在感のある和モダンな佇まい。
その玄関先には、武将が纏っていた真紅の「猩々陣羽織」がレプリカとして誇らしく飾られていました。
”宿泊客を出迎えるのは、現代のスタッフと、500年以上前の村上水軍の誇り。”
初めて訪れる私にも、その空気感がストレートに伝わってきました。
まるで「あなたも水軍の一員です」と招かれているような錯覚にすらなります。
個性的な客室で「水軍の余韻」を楽しむ贅沢時間
チェックインを済ませて案内されたお部屋は、いわゆる純和風一辺倒ではありません。
和の良さと、使い勝手のよい現代的設えとが絶妙にミックスされています。
例えば限定5室の「水軍浪漫ルーム」。
ここは畳の上にソファが置かれ、壁には来島村上家の家紋を大胆にあしらったアートパネル。
間接照明の陰影が戦国武将の世界観を静かに演出して――非日常感がひとしお。
窓の外には、浅葱色の海が切り取られます。
“旅の疲れがすっと抜けていく感覚”。
これは、単なるホテルの開放感ではありません。
例えば大きな「武者屏風」の精巧なレプリカがそっと隅に立てかけられていたり。
デスクやミニバーには、今治タオルや「水軍サブレ」など地元感あるウエルカムセット。
まさに、現代ホテルの快適さと歴史遺産体験が同時に叶う部屋なのです。
絶品温泉体験——湯ノ浦の日常を変える“水軍の癒し”
湯ノ浦温泉、それ自体が「日本の名湯100選」にも連なる由緒と実績を誇る良泉です。
汐の丸の大浴場へ向かうと、まず目に飛び込んでくるのは湯けむりの向こうの緑と光。
そう、ここの露天風呂は風景の“抜け感”がとにかく素晴らしい！
オープンエアで潮の香りがほのかに漂い、“水軍が湯治に癒されたら、きっとこうだろう”と想像してしまうほど。
泉質は、ラドン・フッ素を含んだ単純弱アルカリ性低張温泉。
頭上には青空。
微細な空気の動きや遠くのカモメの鳴き声さえ、贅沢なBGMになります。
女性大浴場でぜひ味わってもらいたいのが「セリシン風呂」。
シルクの繭から取れる天然成分“セリシン”をお湯に取り入れることで、しっとりとなめらかな感触に。
湯上がり後、肌にやわらかな膜を感じるほどの高保湿です。
水軍直伝!? 目にも舌にも美味すぎる圧巻の食事
せっかくの瀬戸内。
早朝に水揚げされた魚介を味わいたい——誰でもそう思うはず。
汐の丸では、夕食・朝食ともに「食の水軍浪漫」を体現する献立が用意されています。
イチオシは“水軍宝楽焼”。
これは、村上海賊が船上で大鍋を囲み豪快に魚貝を蒸し焼きしたと伝えられる伝統料理です。
旬の鯛やたこ、地場野菜を“板”に盛り、特製の海塩とともに蒸し上げる。
蒸気の立つ瞬間、あの戦国時代の船上宴席に自分もいたら、という想像が膨らみました。
加えて、来島の漁師直送網元刺身盛や、瀬戸貝、季節の椀物など——どの皿も瀬戸内海域の生命力を感じる逸品。
瀬戸内の穏やかな波間からやってきた魚の、まさに“今日しか食べられない鮮度”。
地元今治の柑橘や旬の野菜、愛媛オリジナルの「紅まどんな」ジュース。
デザートまで抜かりなし！
こうして、夜も朝も“水軍の豪華船盛”が広がります。
村上水軍の歴史を知らずして、今治のロマンは語れない
「水軍」と一言で言っても、その実態は想像以上に多面的です。
この地域の村上水軍は、来島、能島、因島の三家で“瀬戸内海を舞台とした最大勢力”を築きました。
彼らの武勲や知恵に触れることは、今に残る地域の根っこを知ることそのものです。
私は歴史ファンとして、特に南北朝以降の村上三家の興亡に興味を持ってきました。
現地で再発見したのは、“村上水軍は野蛮な海賊ではなかった”という事実。
彼らは、海上交通のゲートキーパー。
兵法や造船術、大規模な通行安全システムに精通し、まるで中世ヨーロッパの「騎士」と「港湾ギルド」が合体したような存在だったのです。
その本拠地で、私は“ここから物流と歴史の流れが生まれた”ことを現地の空気で体感することができました。
能島・来島・因島——村上三家を巡る「現地探訪」
滞在2日目。
汐の丸周辺で、村上水軍の名所を自転車で巡ることに。
まずはしまなみ海道経由で宮窪町の能島へ。
能島村上家の本陣跡を見下ろす小高い丘に建てられた「村上水軍ミュージアム」を訪れました。
ここで大感動だったのは——関船の1/1レプリカ（全長20m！）に実際に乗り込めること。
背後に潮流の唸り、正面には能島水道の荒波。
スタッフさんに“海の守り”の視点で船上から海を解説してもらううちに、
「昔も今も、この海の流れが人と社会を動かしてきたんだなあ」と実感しました。
さらに能島の対岸、大三島には日本総鎮守「大山祇神社」。
海神信仰の壮麗な社殿と、村上水軍伝承の武具（国宝レベル！）が所狭しと展示されています。
隙間から差し込む陽の光、きしむ木の床、潮の香り。
まるで古の水軍頭領がそこに立つような錯覚すら。
なぜ現代に「水軍浪漫」が響くのか——その普遍性を考える
ここで少し個人的思索に耽ります。
現代日本において、“村上水軍＝悪辣な海賊”という図式は、もう成り立たないと確信しました。
物流と安全、権力と自治、市民的な協同組織。
それらの全てが“村上水軍”の営みに集約されるのです。
言い換えれば、現代的な「経済インフラ」「リージョナル・アイデンティティ」の原型がここにある。
温故知新の象徴として、いま“水軍ブランド”が観光や経済界で生きている理由——それは昔ながらの知恵が今なお使えるからなのです。
汐の丸は、歴史を演出するだけでなく、
“学びと癒やしと交流”が現実に叶う空間。
そこが、今この世で「真に価値ある宿」である所以だと、私はしみじみ感じました。
最新リニューアルでどうなる？汐の丸の未来像を予想！
話題の2025年「大浴場リニューアル」。
実は私が滞在した際、スタッフとの雑談で“新しい露天風呂には水軍の砦をイメージしたエリアが登場する予定”との情報を聞き出しました。
なんてワクワクする企画！
今や、旅の目的は“ただ泊まる”から“現地で歴史体験をする”にシフトしています。
SDGs対応アメニティ改革も進んでいて、必要最低限以外はフロントで選ぶスタイル。
限りある資源を大事にし、かつ滞在体験の質をさらに高めていく計画です。
将来的にイベントスペースやワークショップ機能も増えるとか。
地域密着型リビングラボとして進化する「汐の丸」は、今後ますます多様な交流の場になるに違いありません。
リアルな価格感、本当の満足度は——“コスパ宿”なんて呼べない独自バリュー
ここで気になるのが宿のプライス。
調べてみると、大人2人で1泊素泊まり最安12,350円（1人あたり6,175円）。
実際に払ってみると、この金額で味わえる体験の密度には驚くばかり。
客観的なクチコミでも星3.5と、地元の常連から県外観光客まで高いリピート率が伺えます。
「歴史好きだけ」「温泉目当てだけ」ではない、
“すべての人に開かれた宿”であることを、宿泊体験そのものが証明しています。
はじめての女子旅、親子三世代旅行、歴史オタクの一人旅……。
みんな違う目的で来ても、必ず“水軍ロマン”が心に刺さるはず。
「汐の丸」がつなぐ、瀬戸内海の歴史と人の未来
もはや「ただのホテル」ではありません。
“瀬戸内の歴史体感ステーション”、そして“ランドマーク”。
実際、地元の学校行事や企業研修、地域交流の舞台としても利用者が増加中。
不意に朝のロビーで出会った子どもたちの社会科フィールドワークグループと談笑できたのも印象的でした。
そこには、単なる「宿泊施設」ではない、“人と文化がつながる場”がありました。
そして、客として訪れたはずの私自身が——歴史の「語り部」として思い出を持ち帰ることに気づくのです。
意外と知らない!? 瀬戸内海と村上水軍を巡る豆知識コーナー
1．「村上水軍」は西暦1000年以前から記録がある！
瀬戸内では“海賊”ではなく「水軍様のご加護を」と今なお敬われている地域が多い。
2．能島の本陣跡から見下ろす海は、昔も今も潮流10ノット超！
世界でも有数の難所として船乗りの挑戦魂を掻き立て続けてきたとか。
3．村上水軍の「通行許可証（過書）」は、現代でいえば高速道路パスのようなもの。
持っていないと沈没や拿捕のリスクすらあった。
4．村上水軍が仕切る「海上安全保障ネットワーク」のおかげで、平時も瀬戸内が賑わった。
結果的に沿岸の町や港も繁栄したと言われている。
瀬戸内旅の起点として「汐の丸」を選ぶ、その特別な意味
たとえば一泊、瀬戸内水軍のロマンの余韻に浸る。
あるいは三泊四日、今治からしまなみ海道を旅し、能島・大山祇神社・尾道・松山まで縦断してみる。
どちらのパターンでも、汐の丸はその“感動のスタート地点”になる。
船の往来を感じさせるあの潮の匂い。
村上水軍の物語が語りかけてくるロビー、朝日に輝く海、湯けむりの露天……。
すべてが“今しか味わえない一瞬の価値”として旅人の心に残るのです。
旅のプロが断言！汐の丸の“本当の魅力”五か条
1．“歴史を体で学べる”宿は全国的にもかなり貴重！
2．温泉・食事・部屋、どれも妥協がないリアルな満足。
3．スタッフの地元愛とホスピタリティが本当に温かい。
4．アクセス抜群、移動ストレスもほぼゼロ。
5．どんな旅スタイルでも思い出に“村上水軍スピリット”が宿る。
この五つ、私自身の体験と、現地で出会った何人もの旅人の声の共通点です。
「汐の丸」から始める、現代人の“水軍旅”のすすめ
一人ひとりが違う人生の旅路を持っています。
けれど、歴史遺産と人の心、自然や文化が一つにほどける“場所”は、日本国内でもそう多くありません。
「伝統を知り、味わい、次に繋げる。」
そのフィールドで最前線を走るのが、湯ノ浦温泉「汐の丸」。
もしあなたが、何か新しい感動や学び、癒やしを求めているなら——
ぜひ一度、その“水軍浪漫”を体験してみてください。
大人も子どもも。
歴史マニアも、日常にちょっと疲れた人も。
この瀬戸内の港町で、太古から今へと続くロマンをきっと見つけられるはず。
汐の丸での一日は、あなたの人生に“新しい航路”を運んでくれるでしょう。
次の旅先リストには、ぜひ「汐の丸」と“村上水軍の島々”を加えてください。
